2009年01月24日

ルーブル美術館

これが観光シーズンの盛りだったらこうは行かないのかもしれませんが
とにかく予想以上に人がいませんでした。
モナリザの前でさえ楽に最前列を確保して好きなだけ立ち止まっていられるほど。
なにしろあまりの広さと点数の多さに酩酊していますから
ふわー、この絵きれいー、とぼんやり立ち止まっていたら
ラファエロの『聖母子像』だったとか
誰もいない小さな展示室の隅につつましく掛けてあった
フェルメールの『レースを編む女』を見落としそうになったとか
終始ふわふわと夢見心地で彷徨っていました。
ルーベンスの間、フランス絵画の大作の間に至っては
圧巻というより暴力的ですらある存在感、威圧感に
がんがんと耳のすぐそばで鐘を打ち鳴らされているようで
まぶたの裏に星が飛びました。
一箇所の美術館で使える分量を大幅に上回るエネルギーを消耗し
「今回の旅行、美術館はもう入りません、お腹いっぱいです」という気持ちに。



記憶の中の『レースを編む女』は
うつむいた女性の髪の生え際、その一本一本が光をはらむところや
糸と糸の擦れ合う微かな気配、ピンがぷつりと小さく布を刺す音
空気中を漂う粒子のゆらめきすら丹念に写し取っているように思えるのに
実物を見るとそれほど繊細な筆致ではないことに驚く。
繊細というだけなら同時期のオランダ・ベルギーの肖像画家たちが描いた
王侯貴族や豪商らの身にまとうレース飾りのほうが
気の遠くなるほどはるかに優美で細やか。
ただ、畳ほどの大きさのあるそれら往時の貴人の姿は
離れれば離れた分だけぼやけてゆくのに
中学の美術の教科書で初めて見て
ちょうどそれがほぼ実寸大だったのだと知った『レースを編む女』は
息のかかるほど近づいてみても
また壁際ぎりぎりまで離れてみても
不思議に穏やかな緊張感が漲って、少しもたじろぐことがない。
「彼女の仕事を邪魔してはいけない」
「この空気を少しでも乱してはいけない」という気持ち。
おそらくは無名であったであろう、一人の職人の頑なな佇まい。



ジェリコーの『メデューズ号の筏』が忘れられない。
posted by YUKINO MATOI at 17:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 旅のことーパリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月21日

3泊4日パリ覚書

■1日目■
電車で賞味4時間かけてフライブルクから到着
ミュンヘンやベルリンに行くよりも近い
電車大好きな子は乗り込むとすぐに
窓枠やら座席やら肘掛やらを一通り触ってはにまにま
国境を越えてTGVに乗り込んでまたはしゃぐ
投宿はモントルイユ
駅を出てすぐのパン屋が美味しくて以後日参する
とりあえず凱旋門に出ててくてく散歩
前回遠くから眺めるだけだったエッフェル塔を真下から眺める

■2日目■
移動疲れか良くないものを口に入れてしまったのか
子がお腹の具合を悪くしたので近くのスーパーで消化の良いものを探す
フランスの離乳食のバリエーションときたらさすがは美食の国
マロンクレープを齧りながらモントルイユの蚤の市をぶらぶら

ルーブル美術館攻略
入館と同時に子が寝てくれたので
欲張らず詰め込まずなるべく丁寧に見ようと思いつつ
やっぱり欲張ってしまう
『浴槽のガブリエル・デストレとその妹』の前で
キティがぼそりと「村上ショージやん」とつぶやいたのは
是非聞かなかったことにしたい
しょぼん

頭が痛くなってきた頃に子が目を覚ます
カフェで休憩してから一緒に大作を鑑賞
子は子なりの作法で作品鑑賞や人間観察に忙しい
0歳でここに来たことなんて覚えていてくれなくていいけど
これからも美術館にはたくさん連れてゆこうと思う

■3日目■
今日も蚤の市
といっても予想に反しここでの7割は新品を商う店で
ディスカウントストアの露店版というところ
あとの2割が古着で1割が古本とかがらくたとか
中古のスクーターの部品だけとか
延長コードだけを売る店なんかもあって面白かった
鉄製の万年カレンダーとガラスのインク壷に石のペン置台のついた
重い重い重ーいデスクセットを買う
連れ帰ってくれたキティに感謝

サンジェルマン・デュ・プレ教会
サン・ルイ島でクレープの昼食
ノートルダム大聖堂を出たところで雨が降り出し
駆け込んだ先は薄暗いギャルリ・ヴィヴィエンヌ
天井のガラスを叩く雨音が響き渡るひっそりとした回廊に
一軒のサロン・ド・テだけが暖かく賑やか
天気が悪く子も疲れてきたので
パレ・ロワイヤルの中庭をちょっと眺めて帰り
あとでキティにフランスの美味しい離乳食など
たくさん買い出してきてもらう

■4日目■
チェックアウトして帰りしな
大きな肉屋に横付けされたトラックから
頭と蹄と中身だけがない豚が丸のまま何頭も搬入されるのを目撃
パリ市民の胃袋の中身を垣間見た気分

最終日は買い物か美術館か迷って買い物へ
エスト駅に荷物を置いてギャルリ・ラファイエットへ目の保養に
高い高いドーム天井を見上げてはうっとり
おのぼりさん丸出しですね
これまたうっとりするような優美なドレスやスーツ
キティに値段だけそっと耳打ちしたら「えっ」て声が裏返りました
今住んでる家の家賃2年分くらいかな
最上階でオペラ座界隈の賑わいを眺めながら昼食

くたくただったけど大混雑のラデュレに飛び込み
宝石箱のようなミニマカロンを購入して生き返る
チーズとかパテとかキャラメルミルククリームとか
美味しいものを買い込んで帰路につきました
白いご飯に梅干、のり、こんぶとお味噌汁の静かな夕食
posted by YUKINO MATOI at 20:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 旅のことーパリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年12月29日

12月29日のパリ

2泊3日を簡単に総括するなら、食にしっかりお金と時間をかけた旅。
ガレットもブリュレも美味しかったし
安い店から高めの店までしっかりフレンチも堪能した。
しこたま歩いてしかも3日間ヒールつきのブーツだったから
疲労骨折するんじゃないかと思うほど足が痛くなったけれど
その割に物欲のしもべたる私がたいして買い物はせず。
ピアスとポストカードと雑誌2冊だけ。
Numeroと、もう1冊はextra smallというお子さまファッション誌。
というか「子ども的なもの」が好きな大人向けの雑誌、かな。
事前の下調べ不足でノミの市には行けなかったし
バーゲンの時期にはやや早かったのが敗因。
次に行く時は買い物に費やす日と本屋巡りに費やす日を各々きちんと設けよう。

あとはメモリーカードの容量限界まで写真を撮った。
パリの街路はあちこちで放射線状になっているので
四方八方を消失点までずっと見渡せる場所が多くて気持ち良い。
ヴィトン本店前の巨大トランクも見物して夕方になる。
さあ帰ろうという段になり、ここでしっかりハプニング発生。
何が起こったのかは知らないが何か異常が起こったらしく
シャンゼリゼが一時封鎖されてしばし足止め。SATまで出動。
10分ほどのことだったが、これで帰りの電車の時間が危なくなり
急いで駅に向かうも今度は待ち合わせ場所に連れがいない。
お約束として電車の出た後に合流を果たし、切符を買いなおして次の電車に乗る。
スイスまでは戻って来られたもののフライブルクまでの終電がなく
バーゼルの駅舎で夜明かししたら見事に風邪を引いた。
始発で道凍るフライブルクに帰り着いたのが30日の早朝。
バスの中でパリで買ったピアスが片方ないことに気づきぐったりと眠る。
その日の夜、この日記を書いている段階でまだ足が熱を持ったように痛い。
ピアスは結局出てこなかった。
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2004年12月28日

12月28日のパリ

2泊3日しかないのでルーブルだのオルセーだのポンピドゥーだのと
大きな美術館に行く気は初めから毛頭ない。
小さめの美術館を探し、モード・テキスタイル美術館を選択。
ここには常設展がなく、企画展としてカバンの展覧会をやっていた。
協賛はエルメスで、なるほどエルメスのアンティークがゴロゴロ展示されている。
2001年のYohji Yamamotoのドレスが比類なく美しい。背中がざわざわする。
ドレスにガマグチのポケットをつけるなんて奇抜にも程があると思えるのに
この人がやると卑怯じゃないかと思うほど魅力的で凛として見える。
山本耀司のデザインを評して
「中性的」「両性具有的」という表現がよく使われるけど
そのコンセプトがかなりよく具現化されたドレス。素晴らしいなぁ。

1階の書店にて。
図版中心の美術書はお金さえ出せば日本でも入手できるものが多く
予算と持ち帰りのことを考えて1冊か2冊
今一番欲しいと思うものを選べと言われてもあまり食指が動かない。
いくつかの欲しい、と思える本は文章量がかなり多くフランス語が読めないと役に立たない。
結局何も買わずに帰る。ファッションとドイツ語とは相性が悪い。



午後、ベルサイユ宮殿。空は晴れ過ぎ風は冷たすぎ。
鏡の間は残念ながら改修工事中で
一番端の20メートルほどしか見られなかった。
窓から差し込む日差しが反射して目に痛い。
王の寝室は赤と金の調度が重すぎて、もはや人間の部屋だという気がしない。
この装飾は人ならぬものになろうとした人の所業だとしか思えない。

いくら日没が早いとはいえ夕方の5時までしか開いていないのは大変に残念。
夜の宮殿に明かりを燈したところを見られるなら倍の入場料を払ってもいいと思う。



夜、再び凱旋門。今度は上に昇ってパリの夜景を堪能する。
フランスの栄光を称える門であると同時に巨大な墓碑でもあることを実感。

夕食の後はモンマルトルに向かいムーラン・ルージュを(外から)見る。
デザイン史・美術史の教科書等々でおなじみの
アール・ヌーヴォー調メトロサインの実物を目の当りにし
流石によく映えるものだわと当たり前のことにいちいち感動。



『アメリ』のカフェに行ってクレーム・ブリュレを食べて帰宅。
タバコ売り場がないほかは映画とほとんど同じで非常に楽しい。
もちろんブリュレの焦げたところはちゃんとスプーンでコンコン割る。
ついでに件のトイレにも一応入る。壁は本当に薄い。
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2004年12月27日

12月27日のパリ

深夜、フライブルクを出てスイス経由でフランスへ。
古びたコンパートメントは油紙のような色合い。
椅子は硬くて寝心地が悪く、どっちを向いても体が痛くなる。
朝7時、パリ着。



凱旋門→シャンゼリゼ通り→コンコルド広場→テュイルリー公園→シテ島。

パリのど真ん中、お約束のコースをぐるっと回る。
パリは期待を裏切らない。存分に美しいが予想以上に観光客だらけ。
全くもって良く出来すぎた街。
コンコルド広場でギロチンの跡を確認し栗のクレープを食べながら人間観察。
申し合わせたかのようにゴレンジャーカラーの原色ジャケットをまとった
5人連れの中国人グループ(巨大レンズの一眼レフ装備済)に爆笑。

教会建築に関してはドイツ風ゴシックスタイルが一番好みなのだが
シテ島のサント・チャペルだけは例外。
息が出来なくなるのではと思うほどに
圧倒される建物に出会ったのはケルンの大聖堂以来。魂を抜かれた。

しかしてノートル・ダムには観光客が多すぎて入れず。
屋上についているキマイラ像が見たかったのに無念。
仕方ないのでセーヌ沿いの露店でキマイラの写真を購入。
ここの露店の列は呆れるほど長い。店の途切れる場所が見えない。



地下鉄に乗っていると駅に着きドアが開き
突然足元にコーラのペットボトルと三輪車とタバコ葉のパックが投げ込まれる。
続いて乗ってきたのは黒人の(たぶん)ジャンキー。
フランス語交じりの英語でかなり執拗に絡まれ寿命がやや縮む。
目を合わせたらやられると思い必死に下を向いて関わらぬようにしていたのに。
相方に救出されて事なきを得る。お金も心身も無事。



夕食に入ったカフェのテレビでは
インド洋の津波と並んで『電車男』のニュース。
パリのカフェに突如アップになる2ちゃんねるの画面。
何を言っているのかさっぱりわからないが
フランスで話題に上っているだけでも驚く。
そんなに面白いのか電車男。まだ読んでないぞ電車男。



夜、ホテルのロビーでも流血騒ぎがあったらしく
ものものしい雰囲気の中、警官が出入りし、床には血の滴り。
歩き通しで足はぼろぼろ、アドレナリンはいろんな意味で出っぱなし。
窓の外にライトアップされたサクレ・クールが見えるのに
気づきもしないで泥のように眠る。
posted by YUKINO MATOI at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 旅のことーパリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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