2007年05月31日

(P)ポリ(E)エチレン(T)テレフタレートの向こう

陽の射すのは三方をガラスに囲まれた2畳ほどの空間だけで
その奥の石張りの床は夏でもひんやりと冷たく、薄暗い。
そこに座って日がな一日手を動かしながら
通り過ぎる人たちをガラス越しに眺めていると
何かを一生懸命見ているときの人間というものが
いかに無防備であるかがよくわかる。滑稽なほどに。

あなたがその織部の色を検分しているのと同じくらい
あなたも今、こちら側から検分されているところですよ。
何か心惹かれるものを目に捕らえている時の人間は
まあそんなことは考慮しないものだ。



http://vrm.vrway.com/issue22/LIFE_INSIDE_A_WATER_BOTTLE.html

上のリンクはmomofumiさんに教えてもらった写真。
取り囲まれた世界。
自分の切り取った視野で上も下も右も左も
隙間なくぴっちり覆って作った小さな塔の中。
塔の中心に座ってただひたすら首をめぐらせる。
塔の中で、私は決して目を閉じない。
時折、瞬きをする他は、ずっと世界に目を凝らし続ける。
あなたを、見続ける。
塔の外にいるあなた。は、きっと気づかないのです。
薄青いプラスチックに額を押し付けて眼を見開く私に。



下の写真は2年前に行ったスペインはタラゴナの海。
焦がれて止まないあの海で再来週また泳げる、というのが今の心の支え。

58.jpg
posted by YUKINO MATOI at 07:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月29日

心臓に悪い

日本から衣装の手配を頼まれて、引き受けた。
必要なのはドイツ・オーストリアの民族衣装だから
制作ではなく購入・コーディネートして送り出すまでが仕事。
軍資金は多めにもらえたし、報酬も悪くない。
問題なのは期日まで間がないことと、その割にアイテム数がかなり多いこと。

新品で購入すると足が出てしまうので古着を中心に捜索すること数日。
決して流通数の多いものではないから古着屋を回っても限りがあるし
不定期開催の蚤の市では購入前に日本と連絡を取ることができない。
勢い、ネットオークションに頼らざるを得ないのだが
これはこれで気の遠くなるような難儀な作業。
膨大な出品リストの中から条件に見合うものを選び出し
締め切りまでにクライアントに報告して判断をあおぐ。

苦しいのはゴーサインが出てから。
予想よりもはるかに人気のあるジャンルのようで
競り合いが恐ろしく激しいのだ。
他の仕事も放ってはおけないし、かといって予算のことを考えれば
絶対競り負ける心配のないほどの高額で入札するわけにもいかない。
残り時間が少なくなるにつれて動悸が激しくなる。
これで落とせなければまた探し直し。
私が余計に苦労するだけならまだいいけれど
それに依頼人を付き合わせるのは心苦しく情けない。
ちゃっちゃっと買って終わらせてしまいたいのだけれど
依頼人のほうからはぼろぼろと追加や変更の指示が届くので
買い物リストは長くなりこそすれ、なかなか、短くなってはくれない。

締切に間に合わないかもしれないのが怖くて
これぞ、と思ったものが僅かな読み違いで買えないかもしれないのが怖くて
どうやったら確実に期日までに全アイテムが揃えられるのかがわからなくて
夜も、休憩のうたた寝のときすらも、目を閉じるたびに入札の夢を見る。

あと2週間くらいはそんな状態が続きそう。
心休まるオフの時間とはしばらくお別れです。
posted by YUKINO MATOI at 04:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月22日

復活

ここに敢えて書くのも恥ずかしいが
2年前まで両耳にあった13個のピアスは
自分に対しては常に戒めと指針のための器具であり
他者に対しては自己主張のための装身具だった。

軟骨に空けた穴は比較的新しかったから塞がったが
耳朶のほうはまだ10代の頃に空けたものが大半のため
ふと思いついてピアスを通してみると痛みもなく入る。

ラインストーンの雫が鎖の糸を引いて幾筋も滴っているような
椎名林檎のイヤードレスに魅了されて
今日はゆらゆらと長いピアスを左耳にだけ何連もぶら下げてみた。
何か特別な日にこうして左耳を飾ることがまだ可能なのは
懐かしくも嬉しくもあって、気分が高まる。

左右非対称に装うのはとても楽しい。
斜めがけのバッグ。片肩に垂らすストール。
左腕だけにつけるおおぶりのブレスレット。

骨格の歪み、胸部の痛みに顔を顰めている人間の志向としては
大いに問題があるにしても。
posted by YUKINO MATOI at 02:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月20日

無知から来る傲慢

否定される、という可能性に思い到らないがゆえの傲慢
選ばれない、という選択肢を初めから持たない者の傲慢って
驕りの中でも最も質の悪いものの一つだと思う。
posted by YUKINO MATOI at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

実は

3月からピアノ弾いてます。



幼稚園から小学生まで6年ほど習ったきり放ったらかしていたのを
どうしても弾いてみたい曲があって一念発起
音大生の友人宅に通って悪戦苦闘すること2ヶ月弱。
どうやって弾いていたのかすら思い出せない状態から
時間をかけて練習すればなんとか形になるところまで辿りつく。

で、気づいた。
昔から指番号には無頓着な方だったけれど
その無頓着さをそのまま引きずって
へんてこな指づかいでキーボードを打ち続けて十余年。
どう変かというと、両手の人差し指と中指だけで全てのキーを打つ。
例外的に親指をスペース/変換と英数/かな/カナの切り替えに使う。
日本語のリズムとタイピングのピッチがリンクしているので
子音と母音の入力の間隔が狭く、また文節でタイピングがぶつぶつ途切れる。

その癖がピアノの運指の奇妙なたどたどしさに
ばっちり反映されているような気がしてならないのだけど
これって関係ないのかなあ。
posted by YUKINO MATOI at 09:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月18日

Go! Spidy!

「映画というものは、そのほとんどが
 無意識のうちに何かを象徴しています」
とは我等が敬愛すべき町山智浩氏の弁。

では『スパイダーマン3』が象徴するものは何か。
思うに、サンドマンやヴェノムに対して
スパイダーマン達以外の人間が驚くほど何もしないあたりに
鍵があるような気がするのだけれど。

目の前で起こっている出来事に対して
為すすべなくただ見守るだけしかしない/できない人々。
警察や消防の仕事は現場にとりあえず急行し
周辺の道路を封鎖してマスコミと野次馬を整理するところまで。

スパイダーマンは確かにヒーローかもしれない、でも
あくまで正体不明の、その実体はさえない一人の青年に過ぎない彼に
あなたがたは何もかも託しすぎてやしないか?

「警察が、消防が、さらに米軍特殊部隊が果敢に挑むも空しく
 万事休すか、のところに颯爽と現れたスパイダーマン」
というふうに撮るほうが盛り上げ方としてはよっぽど明解で
ヒーローものの演出としては王道のような気もするのに
そんな描写がほとんどないばかりか
呆然とビルを見上げる彼らの目に漂うのは諦めの色と
スパイディをただ待つしかできない無力さばかり。

警察官としての、消防士としての誇りはどこへ行った?
嘘でもいい、誰かサンドマンにホースを向けるべきだった。
ただ撃墜されるだけのやられ役でもいい、彼らはヘリを飛ばすべきだった。

スパイダーマンを讃えるイベントの白々しさは言うに及ばず
あまりにもスパイダーマンだけが徹底的に待たれ、期待され、信頼され
彼を頼る以外の選択肢が存在しないかのような空気。
やがて現れるべき彼に喝采を送るためだけに用意された場。

ようやくやってきたスパイダーマンの背後に
映画館のスクリーン一杯に広がる、星条旗。

気持ち悪い。
posted by YUKINO MATOI at 00:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月14日

笑いのち恐ろし、ところにより怒り

「子育てに関する緊急提言」土壇場で見送り 日本
http://www.excite.co.jp/News/odd/00081179036601.html

日本の教育政策を報じるニュースなのに
カテゴリが「世界びっくりニュース」なのにまず笑う。

却下された提言には
「インターネットと携帯電話によって子どもたちが
『世界中の悪と直接つながる」との警告も含まれていた」
という。これには参った。本当に。

何ですか、世界中の悪って。
何ですか、そのボンクラな匂いのする響きは。

恐ろしいのは「土壇場」で見送られた、というあたり。
ということは、あと一歩、というところまでは来ていたのである。
こんなボンクラ極まりない提言が。

これを読む限り、この教育再生会議とやらのお歴々は
少子化問題や教育現場での諸問題に
正面から取り組む気なんてさらさらなくて
ただ問題が起こったときの「悪者」を
明確に名指ししておきたいだけなんだと思えてならない。
例えば子どもを粉ミルクで育てる親や
そもそも子どもを産みたくない人たちや
ゲームや携帯電話や有害サイト、などなどを。



愛されたい、と思ったとき、その人の心がけが試されます。
自分が求めるのと同じかそれ以上の情熱を
相手に注ぐことができるか、と己に問う心。
果たして自分は愛されるに足る人間であるか、と悩む心。
謙虚に省みたうえで自らを高めてゆこうとする心が問われます。
そのような心がけもなく、愛されようとする努力すらもなく
ただ闇雲に、相手が自分を愛するように強いることを「洗脳」と言います。
間違ってもそれを「教育」だのとほざいてはいけません。絶対にいけません。




posted by YUKINO MATOI at 08:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月10日

うらら 柳の下

アクセサリショップと服飾材料店を兼ねたような
かわいらしいお店がオープンすることになり
オープン記念展示会に自作を出品することになる。

オープニングパーティー当日。
他のデザイナーの皆さんはめいめいに麗しく着飾って
青々とした初夏の並木道の下を自転車で駆けつける。
私も私でドレスアップしたつもりだったのだけれど
他の方々と比べていささか見劣りする気がしてならず
一旦家に帰って着替えて出直そうとして夫に制止される。
翡翠色の振袖を着たschiseさんも
ミラノから駆けつけてくれて嬉しい限り。

パーティー会場の奥で背の高いスツールに腰掛けていると
久しぶりに電話しようと思っていた友人が向かいに座る。

会うの久しぶりだね。電話しようと思ってたんだけど。
いいよそんな、忙しいのに電話なんてわざわざ。
でも、声が聞きたかったから。

湯気の立つスープと甘いパンが横たわるテーブルを挟んで歓談。

その後妙な男性に絡まれ、その人を罵倒するところで目が覚める。



起きて仕事していると夢の中であった友人からメール。
何度か短いメールをやりとりして、結局電話はかけず。
夢の中で見た緑と、その下を行くうら若き乙女のドレスとが
まるで鈴木清順の映画のようでとても美しかったのに
夢の常として、描き留めようとしても思い出せないのが悔しい。
自分の脳の中に入っているはずの光景なのに
どうして好きなように取り出せないのだろう。
posted by YUKINO MATOI at 03:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 夢日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月09日

水底で酸素を吐き尽くしてから浮かび上がる

不適切な言葉を腹いっぱい溜め込んだせいで不調をきたしたのか
体調を崩していたからこそ沈殿した言葉が気力を奪っていったのか。

その一つ一つをあらため、腑分けし、掌に載せて眺める。
いつでも必要なときに取り出せるところに仕舞うもの。
放っておけばどこかに紛れて薄れてゆくと思われるもの。
形を変えて少しずつ流れ出てしまうであろうもの。

残りのもやもやはみじん切りにして
辛口の赤ワインと一緒に配偶者と囲む食卓へ。

最適化完了。仕事が山ほど待っている。
空模様ほどには気分は悪くない週明け。
posted by YUKINO MATOI at 07:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月05日

穴を掘って叫びたい

言いたいのに言ってはいけないことが多すぎて窒息しそうです。
口にしてはいけないどころか、感じてもいけないだなんて。
posted by YUKINO MATOI at 06:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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