2006年05月30日

四面独歌

ドイツ代表対日本代表のテストマッチ。
土砂降りののち雲が切れて青空がのぞいて雹が降ってまた晴れて
その間にも気温はぐんぐん下がってゆく、というめまぐるしい悪天候の中
観に行ってきましたよレバークーゼンまで。
午前中にフライブルクを出てカールスルーエまで電車で行き
そこからキティの友人と合流して車で北上し現地に入り
試合終了後はすみやかにケルンに移動して夜行に乗り
早朝まだ暗い頃にフライブルクに戻ってくるという強行軍。

切れ切れに降る雨のせいでアウトバーンはうっすらと水の膜に覆われ
その上を制限速度なしですっ飛ばしてゆくので
霧のように細かい飛沫がふわぁぁぁぁっと舞って
雲間から射す光を反射してキラキラしてとても綺麗。
ワイパーも追いつかない視界の悪さで危険極まりないのですが
かといって下手に減速したら追突されてしまうので
危ないなゆっくり走らなくてはと言いながら
アクセルは120km/hに保ったままのドライバーTさんは
小学校に上がるか上がらないかのころからドイツで暮らしている
どっぷりとドイツ人化した陽気なベトナム人のお兄さん。
仕草も表情もまるで欧州式なうえにアジア訛りの少ない明朗な発音で
同じくベトナム人の奥様とも普段からほとんどドイツ語で過ごしているとか。



あとで確認して気づいたのですが
ドイツ国内で購入したチケットにはSinging Areaと明記されており
つまりそれはドイツ応援団の集まる一画にうっかり席を取ってしまったということ。
こぢんまりとして設備の良い(暖房完備なのには助かりました)スタジアムのゴール裏
ドイツ国旗をひるがえし太鼓をどかんどかんと打ち鳴らし
顔を黒赤金に塗り分けた一団の真ん前に陣取った日本人は私たちだけで
体に傷つけられてピラニアのいる河に放り込まれた子羊の気分。

反対側にはブルー一色に日の丸の翻る日本人エリアが。
そっちで心置きなく盛り上がりたいよう。

そんな中でしたが日本勢の善戦で周囲のドイツ人が焦りだすにつれ
逆にこちらは「でかしたニッポン」ととても痛快な気持ちに。
ドイツ語で審判に文句言うのも怖くない。タカハラーって叫ぶのも怖くない。
昨年のコンフェデレーションズカップでの戦いを見ているだけに
素人目にもわかるほどの日本代表の成長ぶりは頼もしい限りで
あれだけのドイチュラントコールの嵐のなかで2-2とは素晴らしい。
夫もかなり満足した様子で、Tさんと熱い試合評を交わしていました。



で試合が終わってみると
「多分日本人サイドで応援していたら俺らここまで盛り上がれなかったかも」
ということに気づいてしまう。
そこそこの人数がスタジアム入りしていたにも関わらず
皆さんとってもおとなしくて静かでニッポンコールはほとんど聞こえなかった。
キティと結婚してからサッカー観戦の楽しみを覚えつつある私は
ドイツ式のスタジアムでの作法というか騒ぎ方をいろいろと仕込まれていて
それができないとなるとそれはそれで気分が高まらずに欲求不満だった可能性も。
周り全部ドイツ人の中で2-0の先制を観られた、ということが
最高に爽快だったし素晴らしかったのだ、きっと。
posted by YUKINO MATOI at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月29日

夫婦は似てくる、とはよく申しますが

結婚前からすでになんとなく似た部分が多々あって
しかもそれが長所よりも短所に多い、となると
これはかなり厄介というか鼻につくというか腹に据えかねるというか。

腰を上げるのが遅い、ないしギリギリになるまでやらない。
自分の分さえ終わればあとはあまり動きたくない。
一つの作業に集中していると他のことにはろくに気が回らない。

わかる、わかってしまうのだ。
自分の都合を優先して動いてしまいたいその気持ち。
わかるだけに、しかもそれが他ならない夫と自分との間のことだけに
情けなさと腹立たしさと苛立ちとでどうしようもなく苦り切ってしまうのだ。

自分がされたくないことを人にしてはいけません、と言うのは易い。
思えば実家にいた頃、怠惰な娘はどれだけ母を苛立たせていたことだろう。
ごめんなさい。



1部屋しかない家でそんな暮らし方では共同体など成り立つわけがない。
お互いの都合、というものにもっと気を配ろうと誓い合う。
そして忙しいとか仕事中とか体調が悪いとか
そういう個々の事情はきちんと相手に伝えておこう、と。
posted by YUKINO MATOI at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月28日

攻殻機動隊のセリフってドイツ語で観ると全然理解できない

MTVで毎週日曜日夜11時から絶賛放映中。
ジブリのアニメならドイツ語でも英語でも結構いけるのだけれど。
(それはビデオテープがべろべろになるまで繰り返し繰り返し観て育って
 大半のセリフがとっくに頭に入っているから、という説も有力)
posted by YUKINO MATOI at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月27日

懐疑と信頼と愛情のスイッチ

紅茶をレモンにするかミルクにするかの選択。
誕生日会にあの子を呼ぶか、呼ばないかの選択。
一度に3冊しか借りられない図書館の本。
今日は『指輪物語』か、それとも『アドルフに告ぐ』か。

10代の頃。小学校高学年から高校時代にかけて。
その時期に触れ、聴き、嗅ぎ、味わい、そして見たものたちの記憶は根深く
時が経つにつれ多くの点で判断の基準が変化した今でも
当時刷り込まれた感性に基づく反射的な判断の回路は存分に生きていて
その強烈さに驚かされる。我がことながら、手を焼くほどに。



何が信じられて何が信じられないのかの判断。
何を肯定し何を否定するかの判断。
立ち位置を決める根拠。
足元に積み重ねられた座標平面。
覆せない。覆すことは許されない。
そこでイエス、と答えることを
14歳の17歳の19歳の私が許さない。

君が立っているのはそういう場所なんだよ、と思い知る。
あの頃飲み込めなかったものを今さら飲み込めない。
posted by YUKINO MATOI at 19:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 考え事の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

黒と赤と金

朝からフライブルクの街中がドイツ国旗の色であふれかえった日。
キティの取材に同行してドイツ対ルクセンブルクのテストマッチを観戦。
ピッチに一番近いゴールすぐ裏の立ち見席。
芝の匂いや試合開始直前の厳粛な空気を楽しむところまでは良かったけれど
アウェーのルクセンブルクの扱いがあまりにも軽いというかぞんざいというか。
ドイツの選手は一人一人名前と背番号を読み上げてもらえるのに
ルクセンブルクは一覧表がスクリーンに映し出されて終わりなのです。
試合はドイツがどかどかと7点入れての圧勝で
その都度その都度嫌味なほどに盛大なファンファーレとアナウンス。
キティはスタンドとメディアセンターの往復で忙しく
半分くらいはゴールの裏に放置されていた所在なさも手伝って
今日のルクセンブルクは今度の火曜の日本の姿かしら、と空など見上げてみたり。
勝敗云々の前にここまで露骨なよそもの扱いはいーやーだー。



ルクセンブルクのサポーターたちが意外に好戦的なのは小さな驚き。
彼の国の人たちってなんか湖の下に遺跡が沈んでて
その周りで老人が犬連れて羊飼ってたりとか
そういう穏やかでひっそりした勝手な先入観がなんとなくあったので。
(それはカリオスト○公国です)
posted by YUKINO MATOI at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月20日

草木薫り花の粉飛びて戌の刻過ぎても未だ明るし皐月

生理が近くなると無性に泣けて泣けて仕方なくて
毎月その日が来ると納戸や路地裏や庭の隅で
一人ひっそりと洟をかんでいる、という女の人が出てきたのは
あれは宮本輝の『流転の海』だっただろうか。

今月はそういう月なのかしら、と思う。



ヨーロッパでは一年で最も激しくお金の動くクリスマスでさえ
(それを売る側で体験したのはまだ一度だけとはいえ)
こんなにも商品が売れたことなどなかった、というほどの勢いで
ぱたぱたぱたと作品が売れてゆき
空白の増えた売り場と帳簿とを見比べていたら
なんだかどうしようもなく寂しくなって、困った。

寂しくないように、空いた隙間を埋めるように
私はまた何かを作るのだろうけれど、きっと。



オートロック、というか
基本的にカギなしでは表からドアノブを回せないドイツの家屋で
いつかはやるだろうと思っていた「カギ忘れて外出」。
台風の来る前のようにどうどうと強風の吹き荒れる玄関前で
ポストをのぞくと中には大学の後輩の送ってくれた専修機関誌が。
手を突っ込んで取り出して、くすくす笑いながら読んでキティの帰りを待つ。



パーティーにお呼ばれして、終電を待つ間
街灯と電光掲示板のオレンジ色が滲んで
それ以外の闇色がしっとりと静かに地表に沈んでいて
また無性に泣きたくなって、困った。

やっと心からくつろいで暮らせる国まで来たのに
このオレンジの灯と闇夜のある場所以外でいつか私は生きてゆけるのだろうか。

いや、生きてはゆけるのだけれどね、きっと。



下腹部の鈍痛と涙腺とが、リンクしている。
ああ、これで週明けからしばらくはきっと体にうまく力が入らないのだわ。
おやすみなさい。
終わるまで繭にくるまってずっと本を読んでいられたらいいのにな。
posted by YUKINO MATOI at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月14日

初陣(でもないか)

友人のパイプオルガンコンサートがあったので
会場までは路電で行き、帰りは土手沿いの交通量の少ない道を選んで
インラインスケートで帰宅してみてはどうか、とはキティからの提案。
しっかりと日焼け止めを塗っていざコンサートへ。
初めてインラインを交通手段として使用してみる。



すれ違う人をひやひやさせること数回
すれ違う人に苦笑されること十数回。
目の前のことしか見えず何も耳に入らず
ただただ転ばないようにぶつからないようにと走ること1時間。
青葉の瑞々しい、川面の眩しい土曜日の午後でしたが
そんな爽やかなものたちに目を向ける余裕はほとんどなく
這々の態で帰宅しました。

嗚呼。世の中とはいかに段差と傾斜と障害物とにあふれていることか。
posted by YUKINO MATOI at 20:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月13日

噂の彼

仕事を終えて携帯で自宅にいるキティに連絡を入れて
じゃあ今から帰るからね、と切ったその瞬間に
目に飛び込んできたのは自転車で信号待ちをしているキティ。

あれ?



夫のそっくりさんが同じ市内に(しかもどうやらかなり近所に)
住んでいるらしい、という話を聞いたのはかれこれ1年ほど前のこと。
私よりも長く彼のことを知っているはずの方々でさえ
街でドッペルゲンガー氏のほうを見かけると疑いなくキティだと思ってしまうそうで
それほど顔も雰囲気も背格好も服の系統もよく似ている、という話でした。



我に返ったのは彼の自転車が見覚えのない真っ黒な自転車だったからで
それに彼の服もサングラスもバッグもキティの持ち物とよく似ているけれど
そういえばあのサングラスは壊れて今はもうないんだよな、と。
それから数秒遅れて頭に浮かんだのはドッペルゲンガーの彼のことで
ここしばらく目撃情報はなかったのだけれどそうか彼が例の彼か。
それにしてもつくづく良く似ていると感動すら覚えながら家路につきました。
色黒なところも髪型も体型も本当にそっくりで
できたらサングラスを外した顔が見たかった。



気になっていたもののことが
頭から消えかけた頃に偶然ばったり、というのはよくあることですが
今日のばったりはマンガとか映画とかでよくある出会いのシーンのようで
自分と彼以外の全てが一瞬フェイド・アウトしてしまったかのような
世界がその瞬間だけ音を止めてしまったような、ばったりでした。

(ある意味初めてキティに出会った瞬間よりも衝撃的)



ちなみに肝心のキティは自分の分身のような彼に未だ遭遇していません。


posted by YUKINO MATOI at 18:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月06日

血って鉄の味がするんだぜ

前回の日記を読んだ方に
そんなにあちこち歯が痛むまで放置するほど
ユキノさんはずぼらな人なのかと思われると
やや心外なのでエクスキューズ。

虫歯よりも虫歯の治療そのものよりも
治療するための補助器具が痛いのです。

『チャーリーとチョコレート工場』をご覧になった方は
ウォンカ少年が歯科医のパパに装着させられていた
あの大仰な矯正具を思い出していただきたい。

あれに近いものを装着させられるのであります。
といっても自分では見えないので予想ですが。

左右の糸切り歯になにやら金属製のフレームのようなものを固定して
そのフレームに薄いシリコンのシートを張って
そのシリコンシートに開けた穴から目的の歯だけを治療するのですが
そのフレームが歯茎に刺さって洒落にならないほど痛いのです!
治療中の歯をしっかり露出させるために歯間には容赦なくシリコンシートが押し込まれて
これまた泣きそうになるほど痛いのです!
さらに件のシートは目のすぐ下までを覆ってしまうので
何が起こっているのかまったくわからないまま治療が進むのです。

フレームの装着中は「痛い」と訴えることはおろか
わずかたりとも口を動かすことが出来ないので
終わる頃には歯も歯茎も顎も限界を訴えています。
もうぐったりしてしまうのです。

半年後の検診までもうしばらく行かなくていいのが救い。
以上弁解でした。
posted by YUKINO MATOI at 05:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ポーションの使い道

Portion

ポーションを手に入れた。

春に帰省していた友達にリクエストしていたポーションが手元に届いて
さて何を回復しようかな、としばし使い道に悩んでいたところ。
スケーリングと他の歯の治療とでずきずきと痛む口内も回復したいし
インラインスケートによる痣とも筋肉痛とも当分縁が切れそうにないし、と
あれこれ考えていたら携帯が鳴った。

ほぼ完成して最終確認を待っていたブラウスに
かなり大幅な縫い直しの指示が出た。



やり直しを経験したことのない職人などこの世にはおらん、と
やり直してあるべき方向へ修正してゆく過程を経験のうちと思えないようでどうする、と
何度自分に言い聞かせても一旦自分で仕上げたものを
解いて修正して縫い直すことほど気を重くさせるものはないのです。
しかも今回はちょっと自信作だったんですが人はそれを慢心と呼ぶ。のかも。



こんなときこそポーションで回復ですよー(涙目)
posted by YUKINO MATOI at 05:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月03日

物欲乙女な人

きっとどこかへ急いで向かう途中だったのだろう
早足でショーウィンドウの前を通り過ぎたドイツ人男性が
また早足で戻ってきてマネキンの着ている水玉の道行をじっと見つめ
首を振って早足で立ち去りかけてまた戻ってきて
「ちょっと見てもいいですか?」と。
で「どうぞどうぞ」と答える間も与えずに
一直線に彼は羽織・道行のコーナーに走り
3分ほどの思案の結果
「これが欲しいんですけど今持ち合わせがなくって
 あの、お店は何時まで空いていますか?」と
目をキラキラ頬を赤く染めながらレジに突進してきた。
夕方必ず取りに来るからと氏名と連絡先を走り書きして駆け足で店を出ていった。

ドイツ人でしかも男性でこんなに購買欲に正直な人初めて見た。
posted by YUKINO MATOI at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。